郷土のことわざ文献一覧

【郷土のことわざ文献一覧】は、穴田義孝理事長が収集した「郷土のことわざ」文献の一部分を以下の4分類に基づいて都道府県別に一覧表化したものです。一覧表には、各文献が4分類(表1)のどれに該当をするのか、各文献の概要および「小さな地域のことわざ風土記」項目ではことわざの例を記してあります。近い将来、郷土のことわざの事例リストを公開する予定です。

【表1】<郷土のことわざ>の四分類

1/A

当該地域で、何時か誰かに創られた地域独特のことわざ(成句)。
一句だけでも「地域の生活文化」を彷彿とさせる成句もあるが、複数句が駆使され、さらに具体的な用法や解説があると「小さな地域のことわざ風土    記」となり得る。

2/B

「全国区のことわざの擬似的なことわざ」と喩えることができることわざ(成句)。
『ことわざ辞典』類にある成句と類似しているが、その一部が方言や独特の言い回しであったり、発音やアクセントが違ったり、比喩されている固有名   詞が異なる、独特の用例となっていることわざ(成句)。

3/C

「全国区のことわざ」と同じ文面であるが、その使い方などにより地域独特の意味や役割を持つことわざ(成句)。
 ※(A)静的(static)には「全国区のことわざ」そのものであっても、(B)動的(dynamic)には、会話や文章などで具体的に地域独特の用例、役割・   機能が示されている場合がある。さらに(A)静的(static)にも『ことわざ辞典』類とは異なる独特の意味を持つことがある。この様なことわざ(成句)   は、<郷土のことわざ>のカテゴリーとする。 
 

※2や3は文化の伝播や学校教育などにより「全国区のことわざ」が各地に伝わり、時間の経緯と共に地域の生活文化に組み込まれていったのであろう。

4/D

「主に生業にまつわる天気・気候・気象・季節・地理」など、生業と自然現象にかかわることわざ(成句)。
当然、地域によって異なるに違いない。地域の独自性が明確とは言え、他との比較や一般性はし難いと考えられる。4は単独で整理されたり、口頭伝承   欄に掲載されている場合が多いことなどにより、これをあえて<地方のことわざ>として、1や2、3と区別する。

「小さな地域のことわざ風土記」と比喩できる「民俗誌」は、1のみが列挙、解説されるよりも、2や3が混交して列挙されている中に1が見出される事例が多いと言えます。

 3については、単なる成句の列挙や解説だけで、用例やエピソードなどがない場合は、「地域の生活文化」を彷彿とさせる「小さな地域のことわざ風土記」のカテゴリーに入れることが難しいといえましょう。
 各地の『郷土史(誌)』などの「民俗・口頭伝承」、「ことわざ」の編纂では、調査にあたって1がほとんど「聞き出せない」ので、この項を省略した場合があるのではないかと推測されます。また、2や3、特に3は<郷土のことわざ>と認識されていないので、「ことわざ」の項が無い場合があり得るのではないかと考えられます。